フルリモートワークに移行して2ヶ月目メモ

TL;DR

- だれでも変化が起こしやすく、受け入れやすい状況になっている
- 環境が揃わないと仕事どころじゃない
- 自分のコントロールはできても家族のケアの方が大事かつ難しい


普段は新宿にある会社でWebアプリケーション開発をしている身ですが、COVID-19の影響で3月から開発チーム全員でリモートワークに切り替えました。つまりリモートワーク移行からおよそ2ヶ月。ある程度リズムが掴めてきたものの、リモートワーク生活はこれから長期化することも想定しています。
アフターコロナとかウィズコロナなんて言葉も聞こえ始めてきて、後々before/afterの比較がされることも増えそうですが、世界中で同時多発的に生活の変化を迫られることはそうそうない経験になると思われるので、現況を忘れる前に記録しておくpostです。

 

フルリモート切り替えの経緯


2月中〜下旬

クルーズ船の報道に混じって都内での感染記事も見かけるようになった頃です。所属会社としては特別な対策をするアナウンス無し。対外的にはGMOインターネットグループが突出して早くリモート化を宣言していた印象がありますが、この時点では多くの企業がまだまだ通常営業だったと思います。
そんな中、2/26に東京駅近郊や職場のある新宿での感染報告の記事が上がりました。 


新丸ビルで新型コロナウイルス感染者を確認-イベントに参加 - Bloomberg

オリックス生命、協力会社社員1人が新型肺炎に感染 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル


社内ではこれを機に各自判断で時間差出勤やリモートワーク推奨が唱えはじめられ、弊開発チームのボスはチーム内判断でメンバー全員のリモート化を決めて、自宅で作業できる環境を準備開始。もともとリモートができるメンバーが半数、環境がなかったメンバーのためにオフィスにおいているiMacを自宅に郵送する事になりました。なお全社としてリモートワークの制度はないもののVPNリモートデスクトップ、セキュリティ周りなど仕組み的にはほぼ出来上がっている状態のため特段の混乱は無し。


3月上旬

チームメンバーは自宅に端末を送り終えて、自宅環境も落ち着いてきた頃です。
オフィスに通勤していた非エンジニアの部門も徐々に交代勤務やリモートに切り替え始めたことで、それまで対面/メールベースだったやりとりをチャットベースのコミュニケーションに切り替える提案をしました。具体的にはTeamsに普段から緊密なコミュニケーションが必要な同フロアの方を含めたTeamと目的ごとのChannelをつくりました。そうしようと明言した訳ではないですが、それまで社内メール文化だったところをコミュニケーションのスピードアップを狙ってやんわりとTeamsの利用に誘導していきました。ちょっとこのデータがおかしいんだけど見てもらえますか?とか、毎月必ず行う定形業務のほぼテンプレ依頼メールなどなど。


3月下旬

弊社では勤怠管理は毎月配られるExcelファイルに自分で出勤/退勤時間を入力して紙に印刷しハンコ押して上司のハンコをもらい、管理する部門へまとめて持っていく素敵昭和イベントがあります。普段からアレな気持ちを抱いていることはさておき、フルリモートワーク環境下でこれを愚直に遂行する気はサラサラなかったため人事部へ相談の連絡を入れたところハンコなんて誰も見ていなかった事が判明。上長による確認はしてほしいとの事だったので押印欄にテキストで名前を入力して終了。


4月

世間は7都府県で緊急事態宣言があり、その後全国に拡大しましたが、僕の周りではすでにリモート生活に入って1ヶ月前後経っており慣れてきたという意味でも大きな変化はありません。
チーム内に限って言えばフルリモート前と後で開発効率の低下や大きな問題は起きていない状況。

普段の業務はどうなったか


コミュニケーション

前提としてSlackでもTeamsでもなんでも良いが何かしらのチャットツールが無いと壊滅的だと感じます。これを導入しないと仕事にならない。エンジニアだからという訳ではなく、オフィスワーカーは全員要るのでは?もしチャットツール無しでフルリモート化した場合はおそらくコミュニケーションの極端な不足と仕事のスピードが出ずにリモートワーク全然ダメじゃん烙印を押されて終わりだと思う。

あくまで体感ですが、今までチャットツールに触れてこなかった非エンジニア部門の方も慣れてくるにつれメールによる依頼・相談事が減ってきたような気がします。人間、必要に迫られたら適用できるんですよね。一方、@で特定の相手に対するリプを投げたりスレッドで返事するような使い方とかチャット文化みたいなものはある程度レクチャーが必要かなと感じました。リテラシーの低い人やツールに興味の無い人もいるわけで、存在を知らない機能みたいなものは知ってる人が柔らかく伝えていくのが大事。
ただしチャット文化は人類全員が受け入れられるモノでも無いのは確かなので、嫌々使わされている人が身近にいる場合にどうするべきかは悩みどころかもしれません。


ちなみに開発メンバー間はもともとチャットのほうが多い文化なのでほぼ影響無し。口頭で相談したい場合のビデオコールだけまだ少し気を遣っているかもしれないので、コミュニケーションのロスを減らしていくプラクティスは必要そう。このあたりはもっとリモート文化の進んだ人たちのアドバイスが欲しいなぁ。


レガシー文化


エンジニア界隈のモダンな会社ではあまり目にすることがないと思うけど、ハンコ承認のような形骸化している作業があることが明らかになるのは大きな意味があって、臭いものに蓋をしてたり現状維持を貫く体制に対しては強い気持ちで立ち向かう必要があって変えることに相当なエネルギーが要るところですが、ここ2ヶ月は外出自粛のような仕方がないけど生き方を変えて適合していく状況が多いせいか、変化を受け入れる空気感が増してると思います。トップダウンで大鉈を振るうにもボトムアップで改善を提言するにもチャンスなんじゃないかな?
事実、会社の中では可能な限りハンコ承認は減らせそうな気配がありとても健全な方向に進んでいるのを感じます。


ビデオ会議


映像でお互いの顔が見えてることは大事なポイント。相手が話をする様子や聞いてくれている様子が見えるだけでだいぶ違う。感覚値だけども昨今のビデオチャットツールはブラーをかけたり背景画像で部屋の様子を見せなくて済むので映像をonにするのに抵抗が無くなった人は増えた気がする。通信環境が悪くなければ顔見せする方が良いし、その点で一昔前のテレカンと比べるとだいぶハードルが低くなってそう。
音声のノイズを取り除くのも随分と楽。マイクにお金をかけなくてもソフトウェアレベルで所謂ホワイトノイズや電車の音や子供の鳴き声は聞こえなくなる。この点はテクノロジー万歳としか言いようがないです。



リモートの仕事環境

人によって差が大きいポイントですが、僕の場合は普段家族が生活しているのとは別の階に小さな書斎があるため、仕事にあたる日中は家族との干渉がかなり少ない方です。最初は子供が興味津々で侵入してくることもありましたが、1ヶ月程度経つと慣れたのか飽きたのか頻度が激減して、今ではだいたい週に1度くらいしか仕事中に声を掛けられない状況です※1

他のメンバーの状況をビデオ会議越しに垣間見るとこれは結構レアなケースかと思ってßいて、小さい子供が同じ空間にいたら何かしら邪魔されるのが普通でカメラとマイクを乗っ取られるのが日常です。僕もたまにリビングで子守しながら仕事したらバチクソ子供に絡まれています。我が家は妻が専業主婦として子供をみてくれているので仕事ができていますが、この環境は子供が小さいほど避けては通れないし、共働きしてたらどうにもならなそうだな〜と思って日々過ごしています。

今こそBBCパパの気持ちが分かる社会に変わってきているので、この状況が治まった後も子供の乱入微笑ましいな〜くらいの感覚で見守っていられる文化が出来上がるとスイマセンスイマセン言いながら会議する事も減って、健全な進化になるのかなと期待してます。


仕事以外の生活はどうなったか


1.5hほど掛かっていた通勤時間が1分弱になり、単純計算で使える時間が約3時間増えました。これだけ言うと超メリットに聞こえますが、実際のところ今までは通勤時間を読書と英語の学習に充てていた時間が何故か消し飛んでいます。
その分増えているのは子供の世話や家事。自炊が増えたせいか買い物の量と頻度も上がっていると思う。掃除機をかけたり洗濯したり昼休みはそもそも昼食を作ったりもするので明らかに通常時より時間はカツカツになっている日もあるのですがこれは妻が普段負担してくれている仕事なので当然のことでした
自分を律してルーチンをつくったりQOLを意識した生活を鉄の意志で推進しないとダメになると思って以下を始めました。

  • 朝、窓を開けて外の空気を吸いながら仕事する(春で良かった)
  • 昼に縄跳びをする
  • 朝と昼と夕方にトレーニングボードで懸垂


ただし平時のリモートというよりは小学校や幼稚園/保育園も閉まっている緊急事態だからこその生活サイクルなので、子供の勉強をサポートする必要が平時以上に重要だったり、本当に特殊。自分のだけじゃなくて家族のケアの方がどうすべきか悩ましいと感じてます。

QOLの向上については別の機会に書き残そうと思っています。



 

※1 妻が未然に子どもの足止めをしてるケースも山ほどありそう、、感謝しかない